2017/04/01

米文学特殊講義演習 Ⅰ&II: アメリカ扇情文学研究

米文学特殊講義演習 Ⅰ&II
アメリカ扇情文学研究
2017年 春学期・秋学期 金2(半期:2単位)
三田キャンパス
宇沢美子(文学部)
設置課程:前期博士課程(修士課程)
設置学部・研究科:文学研究科

【内容】
春学期「アメリカ扇情文学研究−− 1840年代 Flash Press の動向」:1840年代はじめ、ニューヨークの性的な暗黒面が、一般市民の知るところとなり、裁判沙汰にまでなったのは、それを面白おかしく書きたてた労働者・事務職階級向けの醜聞新聞の存在によるところが大きい。殺人事件あり、性的ゴシップあり、演劇情報あり、スポーツ賭け事関連など、都会の裏情報は、この時期ニューヨークに出現したゴシップ新聞によって、扇情的にかき立てられていきました。春学期はこの Flash Pressと呼ばれた1840年代の醜聞新聞について、その文化的、社会的、文学的背景をこの分野の先行研究から探るとともに、典型的な記事(抜粋)を主要テクストとして検討します。初回授業において各回で検討する二次資料のリストを配布します。

秋学期「アメリカ扇情文学研究−− George Thompsonの暗黒都市ミステリーを読む」:後期はアメリカ扇情文学研究を George Thompson (1823-1873) の暗黒都市ミステリー作品の検討を通して行います。Thompson は19世紀 antebellum 期を代表するパルプフィクション作家でした。社会の上流階級の偽善や欺瞞をあばき、下層階級がいかに社会の犠牲となっているかを描くことを得意とする、同時代の時として俗悪な「リアル」を追求した作家でした。作品が実録犯罪記とポルノグラフィー的側面を併せ持つことで、その扇情的で好色なところが、大いなる人気を得た一因とも考えられています。ジェンダー、階級、政治、人種、経済、犯罪他の同時代文脈にその作品を置くことで、Thompson がいかに多面的な作家であったかを考察していきます。

【テキスト】
Patricia Cline Cohen, Timothy J. Gilfoyle, and Helen Lefkowitz Horowitz eds., The Flash Press: Sporting Male Weeklies in 1840s New York (Chicago: U. of Chicago P, 2008).


George Thompson, Venus in Boston and Other Tales of Nineteenth-Century City Life (Amherst & Boston: U of Massachusetts P, 2002).

(慶應義塾大学 HP 講義要項より抜粋)